本屋さんや図書館で、ずっと気になっている本がある、としよう。
「これ、一度くらい読んでおいたほうがいいよな」
そう思って手に取るのだが、分厚い。しかも、タイトルからして難しい。
「純粋理性批判」
「存在と時間」
「形而上学」
「資本論」
はぁ、タイトルを理解するところから始めなければならない…。
そんな私が今回紹介したい本、それが富増章成さんの『読破できない難解な本がわかる本』である。
※イラストがかわいい、と私は感じるが読者諸兄はどう思うであろうか…。

名著を見開き4ページで紹介
本書では、世界の難解な名著60冊が、見開き4ページ程度で紹介されている。
文章だけでなく、図やイラストも使われているため、
「この本は結局、何を言いたいのか」
「著者は何を考えていたのか」
というポイントを、短時間でつかめる。
いやはや、なんとも素晴らしい本ではないか。
こういう本、私は好きである。
取り上げられているのは、プラトン、アリストテレス、孔子、デカルト、カント、ニーチェ、フロイト、マルクス、ハイデガー、サルトル、アーレント、ピケティなど。
哲学だけでなく、宗教、政治思想、心理学、社会学、経済学、日本思想まで幅広く扱っている。
『論語』『般若心経』『君主論』『社会契約論』『資本論』『幸福論』『武士道』『21世紀の資本』など、名前は知っていても読んだことのない本が次々に登場する。
国立国会図書館でも、本書は「哲学から心理学、経済学まで」の名著60冊を扱った本として紹介されている。(国立国会図書館サーチ(NDLサーチ))
「そういう話だったのか」と理解
例えば、アリストテレスの『形而上学』
「ケイジジョウガク?」
タイトルだけで難しそうだが、本書では「存在とは何か」「物事の本質とは何か」といったテーマが、図解を交えて整理されている。
すると、
「なるほど。そういう話だったのか」
と、少し身近に感じられる。
ダイヤモンド・オンライン「3分でわかる!アリストテレス『形而上学』」
ニーチェやカント、ハイデガーも同じである。
本書を読むと、難解な思想家の名前が、少しずつ「何を考えた人なのか」に変わっていく。
そして、
「この人の本を、実際に読んでみようかな」
という気持ちになる。
本書は、名著を完全に理解するための本ではない。
難しい名著への入り口をつくってくれる本なのである。
私の手元にあるのは2冊目
この本には、少し思い出がある。
私が今持っているのは2冊目だ。
最初の一冊は、以前、会社を担当してくれていた銀行の女性職員さんに貸した。その後、彼女は担当を離れ、結婚や退職、出産などが重なり、本は戻ってこなかった。
しばらくして、長男が大学へ進学することになった。
文系だったので、
「これを読んでみたら面白いんじゃないか」
と思い、私は新しくもう一冊を買い、長男に渡した。
すると、その直後に以前の担当者さんから連絡が来た。
「ご無沙汰してます社長、この本を返すのを忘れていました!」
とのこと。笑
すでに新しい本を買っていたので、最初の一冊はそのまま彼女に差し上げることにした。
結果として、彼女の手元には最初の一冊、私の手元には新しい2冊目が残った。
不思議な本の旅である。
息子たちも読んだ
長男だけでなく、次男もこの本を読んだ。
二人とも文系ということもあり、哲学や文学、宗教、政治などの話に興味を持ったようだ。
また、地政学リスクや青年期特有のヒロイズムみたいなものも、この本から感じ取っていた。
普段なら手に取りにくい難しい本でも、数ページの図解入りなら読みやすい。
親子で同じ本を読んで、
「この本に出てきたキルケゴール、面白かったな」
などと話せるのは、なかなかにして良いものである。
気になる名著を見つける本
本書を読んでいると、実際に原著を読みたくなる本が出てくる。
私が特に気になったのは、次の3冊である。
ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』
「神は死んだ」で有名なニーチェが、実際には何を考えていたのか。
本書を入口に、『超人とは何か』をじっくり読んでみたいと思った。
アラン『幸福論』
「人間にとって幸福とは」を考える本である。
54歳で会社経営を終え、これからの生活を考える今の私には、若い頃よりも身近なテーマに感じられる。
マキャベリ『君主論』
タイトルは有名だが、実際に読んだことはない。
政治や組織、人間関係を考えるうえでも、面白そうな一冊である。
手塚治虫氏の漫画にはよく『マキャベリスト』の言葉が飛び交う。一度、本書を読んでみたいものだ。
アリストテレスの『形而上学』にも興味はあるが、いきなり原著から入ると、途中で寝てしまいそうだ。笑
読み方は自由でいい
本書は、最初から最後まで順番に読む必要がない。
気になる著者やタイトルから読んでもいいし、わからない言葉を注釈やスマホで調べながら読んでもいい。
「今日はニーチェ」
「今日は孔子」
「今日はカント」
という読み方でも十分楽しめる。
「r>g」ピケティの著書、「21世紀の資本」なども現在読んでおくと良いかもしれない。
読書は、必ずしも一冊を最初から最後まで読み切らなければならないものではない。
本書のような案内役を使って興味のある本を見つけ、そこから原著に進めばいいのだと思う。
2026年には新刊も
富増章成さんは2026年8月に、『1行で難解な名著がわかる本』も刊行している。
買ってみよう。笑
「現代とつなげてエッセンスをつかむ50冊」という内容で、『正義論』『監獄の誕生』『種の起源』『ツァラトゥストラはこう言った』などを紹介している。(Books)
本書が面白かった人には、こちらも気になる一冊だろう。
まとめ
『読破できない難解な本がわかる本』は、難しい名著を短時間で理解するための本というより、名著を読んでみるきっかけをつくる本である。
図やイラストを使って、60冊の名著の要点をわかりやすく紹介している。
「難しいから読まない」と思っていた本が、
「少し読んでみようかな」に変わる。
それが、この本の一番の魅力だと思う。
長男に読ませようと思って買った2冊目だったが、私自身も読み返し、次男も手に取っている。
難しい名著への最初の一歩として、かなりおすすめの一冊である。
これからやってくる秋に備えて、お手元にもどうぞ。
📚 今回紹介した本
価格:1,650円(税込、送料無料) (2026/9/10時点) |
📖 こちらも気になる一冊
価格:1,870円(税込、送料無料) (2026/9/10時点) |
🔎 関連記事
ダイヤモンド・オンライン「読破できない難解な本がわかる本」特集
※本書は2019年3月刊、272ページ。著者は富増章成さん。哲学、宗教、政治、心理学、経済学、日本思想など、幅広い分野の名著60冊を扱っている。(ダイヤモンド社)