長男から、突然こんな相談をされた。
「NISAの口座、楽天証券に変えたいんだけど」
どうやら、すでに自分で楽天証券の口座を開設し、銀行口座の準備もしたらしい。
そして楽天証券の画面を見ていると、
「NISA口座を開設」
という文字が出てきたようだ。
ここまでは、何も問題がない。
むしろ私は、
「おお、自分で投資を始める気になったか」
と、ちょっと嬉しくなった。
長男のNISA口座は、私が昔から付き合いのある信用金庫で、すでに開いて持っていた。
また、そこにはある程度の資金もあり、運用もしている。
つまり、今回の息子からの相談とは、
「NISA口座を開きたい」ではなく、
「今あるNISA口座を、楽天証券に変更したい」
という話だった。
そして、その理由が面白い。
「Appleの株」
どうやら長男、個別株をやってみたくなったらしい。
その第一候補が、『Apple』
私も昔から株や投資の話はしてきたが、息子自身が
「自分のお金を、自分で管理して運用してみたい」
と言い出したことには、ちょっと感慨深いものがある。
特定口座でApple株を買う方法もある。
それならNISA口座を移管しなくてもできる。
ただ、長い期間保有することを考えると、利益に対する約20%の税金が気になるらしい。
「こいつ、すでに長期保有を目論んでいるのか!?」笑
そこに、
「いやいや、どうせなら使えるものは使わないと」と長男。
「そりゃそうだ。全面的に大賛成」と私。
この考え方は常に息子たちに解いてきた。
我が家にとってこの意見は、ごくごく自然な流れであり「私の教育?」の賜物でもある。笑。
さて、NISAは、18歳以上の人なら利用でき、口座は1人1口座。
そして金融機関の変更も年単位で可能になっている。
つまり、だ。
「自分が使いやすい金融機関でNISAを運用したい」
という長男の希望そのものは、制度として認められている。
金融庁もNISAについて、金融機関の変更は可能であると案内している。
ところが。
我が家が動くときには、必ずついて回る黒い影。※まぁ、これをクリアすることも面白いし、この流れの後には必ず良い結果も生まれるのだが…。
読者諸兄に送る。
今回の結末やいかに。
さぁ、ここから話が少しややこしくなっていく。
「本人が窓口に来てください」
私は早速、信用金庫に相談した。
長年の取引もある、どころではないほど蜜月(笑)の関係。
これまでいろいろとお世話になってきたし、世話もした金融機関だ。
だから私は、
「息子のNISAを楽天証券へ変更したいので、そのための手続きをお願いしたい」
ということで話をした。
ところが返ってきた答えが、
「ご本人様に窓口へ来ていただく必要があります」だった。
……。
うん。
それは分かる。
本人確認が必要なのも分かる。
NISAは税制上の優遇制度でもあるし、金融機関として本人確認を厳格にする必要があることも理解している。
でも、である。
長男は今、私たちとは別の場所に住んでいる。
実家から離れ、私たちの元から、それなりに(いや、かなり)距離がある場所に生息している。
そして今回必要なのは、「息子が投資について相談したい」という類の話ではない。
すでに本人が楽天証券の口座を開設していて、NISAの金融機関を変更するための手続きについて相談しているだけだ。書類を送ってくれさえすればいい。だけなのだ。
私は思った。
「このためだけに、本人がわざわざ窓口まで来なければならないのか?」と。
長年の付き合いでも変わらない、規則
私は少しだけ苦言を呈した。
「何か特例措置はないのですか?」
「郵送では無理なのですか?」
「オンラインで本人確認する方法はないのでしょうか?」
「本人確認を別の方法で済ませることはできないのでしょうか?」
いくつかの手立てとなる方法が、あるかどうかも聞いてみた。
もちろん、金融機関側にもルールがある。
勝手にルールを破ってください、という話ではない。
私が言いたいのは、
「ルールの中を模索して、もう少し利用者に寄り添った方法はないのですか?」
ということだ。
今の時代、スマートフォンで本人確認をして、証券口座まで開設できる。
楽天証券でも、NISAの金融機関変更についてオンラインで申し込む仕組みが用意されている。
2026年3月22日以降は、楽天証券ではNISA金融機関変更の申込みについて、最短当日から取引可能となる仕組みも導入された。
なのに、だ。
「本人が遠く、海を渡り、わざわざ信用金庫の窓口まで来てください」※そんなこと、行員さんは言っていないが、言っているように聞こえるのは私だけか?。笑
と言われると、
「あれ?金融サービスって、どんどん便利になっているんじゃなかったっけ?」
と思ってしまうし、思ってしまった。
逆行、である。
「NISAに限らず金融機関の利便性向上」
少し調べてみて、面白いことが分かった。
金融庁自身が、NISAについて「利便性向上」を重要なテーマとして掲げている。
NISAの手続きについても、さらなる簡素化・合理化、デジタル化などを進める必要があるとしている。
さらに金融庁は、NISAの金融機関変更についても制度上可能としている。
つまり、「NISAは一度開いた金融機関から絶対に動かせない」という制度ではない。
ちゃんと変更できる。
もちろん一定の条件や期限はある。※これも少しややこしいのだが…。
たとえば、その年に変更前のNISA口座ですでに買付をしている場合、その年の金融機関変更ができないケースがある。
また、変更しても、それまでの金融機関で保有しているNISA商品を、そのまま楽天証券へ移管できるわけではない。
ここは重要だ。
NISAの金融機関変更は、
「今持っている商品を楽天証券へ引っ越しさせる」
という単純な話ではない。
既存のNISA資産は基本的に元の金融機関に残し、新しい金融機関で新たなNISA取引を行う、という仕組みになる。
楽天証券も、この点を明確に案内している。
長男に関しても、現在、信用金庫で育てている銘柄の代わりを、楽天証券で探す事となり、そしてその一部にアップル株を入れたいと言っている。
さて、今回の問題は何?
ここは一度、整理してみよう。
今回の問題は、
「信用金庫が悪い」
という単純な話ではない。
本人確認が必要なのは理解できる。
金融機関には金融機関の事情もある。
犯罪防止や不正利用防止のために、本人確認を厳格にすることはとても大切だ。
一方で、金融庁は金融機関に対して「顧客本位の業務運営」を求めている。
利用者の知識や経験、投資目的などを踏まえて適切に対応することも重要だとしている。
だからこそ、
「本人が来なければダメです」
で終わらせるのではなく、
「本人確認は必要ですが、こういう方法ならできます」や、
「このような本人確認は長男さん、できそうでしょうか?」
などという選択肢を示してもらえたら、利用者(私)の印象はまったく違ったと思う。
特に地方の信用金庫には、ネット証券にはない「人とのつながり」という大きな強みがある。
「前例がない」などは作らないから『ない』のであって、サービス向上の一助になる案件であるのなら、信用金庫側も頑張って取り組み、『ない』を『できます』に変換できたなら、企業にとっては「強み」になると思う。
私はそこに期待している。
私は長男を応援
一番大切な事は、長男が「自分でNISAを管理したい」と言い出したこと。
そして、「Appleの株を買ってみたい」と言ったこと。
もちろん、個別株にはリスクがある。
Appleだから絶対に上がる、なんてこともない。
息子にはその危険性と、不確実さも伝えてある。
私としては、「好きなら買えばいい」と簡単に勧めるつもりもない。
ただ、自分のお金について考え、自分で調べ、自分で口座を管理してみる。
これは、これから長い人生を生きていく上で、決して悪い経験ではないと思う。
むしろ親としては、
「失敗しないように全部やってやる」よりも、「自分で考えて、自分で管理する」と言うところまで見守ることのほうが大切なのかもしれない。
だから私は、今回のNISA口座の移管も、できるだけ手伝ってやろうと思っている。
現在、話はここまで
この出来事は金曜日に起こった。
信用金庫とは現在、ここまでで話が止まっている。
週明けの月曜日には、連絡をいただくこととなっている。その上で「こういう方法ならできます」となるのか、それとも「やはり本人が窓口へ来てください」となるのか。
多少の裏工作(笑)はしたが、結果はまだ分からない。
私としては、「色々思案し、何とかいい方法を考えてみました!」という回答を期待しているが、さて、どうなることやら。
まさか、息子の「Apple株を買ってみたい」という一言から、父親と信用金庫のNISA手続き問題に発展するとは思わなかった今回の口座移管騒動記。
投資というのは、株価だけを見ていればいいものではないらしい。
口座を変えるだけでも、いろいろある。
改めてお金の恐ろしさ(笑)を、身をもって知ることとなった。
というわけで、今回はここまで。
月曜日、信用金庫からどんな回答が来るのか。
その結果については、また続編で書いてみたいと思う。
「息子のNISAを楽天証券へ。その2」
果たして、無事に楽天証券へ変更できるのか。
それとも、父親がもう一度、信用金庫と相見えることになるのか。
続きは、また次回。お楽しみに。
関連リンク
- 金融庁「NISAを知る」 — NISAの基本、1人1口座、金融機関変更など。
- 金融庁「NISA よくある質問」 — 金融機関変更の制度上のルールを確認できます。
- 楽天証券「NISA口座の金融機関変更・移管」 — 実際の変更手続きはこちら。
- 金融庁「顧客本位の業務運営について」 — 今回の「金融機関はどこまで利用者目
楽天ではないが、手数料を考えるなら👆ご参考まで。