弓道教室を卒業して、早くも二週間ほどが過ぎた。
二十回の教室を終えた日の話は、弓道教室最終日の記事に書いている。
本日は、入会した弓道会で初めて練習する日である。
教室の修了を迎えた二十人のうち、十六人が会への入会を希望した。私もその中の一人。教室が終わったからといって、弓道まで終わりにするつもりはなく、せっかく始めたのだから、もう少し続けてみようと思った。
ただ、その「もう少し」の初日が、なかなか濃かった。
先日行われた、先生方や同期との懇親会の記事、元社長が「宴会部長」として奮闘した夜の話はこちら。
無職のおっさん、平日の午後に初出勤
同期の皆さんは学生や仕事を持っているため、金曜の夜や、土日の昼間を練習に充てる方が多い。
一方、私は無職である。笑
予定を調整するうえでは、なかなか強い。仕事との兼ね合いを考える必要がないのだから、火曜と水曜、できれば木曜の午後も練習日にしようと考えている。
ただし、その時間帯には、今のところ同期が一人もいない。
時間が自由になることと、心細くないことは、どうやら別の話である。
弓道着を着て、車に乗り、道場へ向かう。気分としては、本日が初出勤。給料は出ないが、緊張感だけは新入社員並みなのである。新入社員になったことはないのだが……。笑
教室でお世話になった講師の方々はいらっしゃるが、それ以外の皆さんとは初めましてだ。知らない場所へ一人で飛び込むような感覚で、道場へ近づくほど、ドキドキが増していった。
無職のおっさん、今度は射場で固まる
この日は六段の会長、五段の講師の方々、範士七段の先生、そして二段、三段の先輩方と一緒に弓を引かせていただいた。
その中に、教室を出たばかりの私🔰がいる。
皆さんは気さくで、優しく、明るく朗らかだった。初心者の私🔰に、いろいろなことを丁寧に教えてくださる。
ところが、である。
教室でお世話になっていた講師の方々からは、これまで以上に細かく指摘が入る。肩の位置や体の使い方など、直すところはまだまだあるらしい。
しかも、私はもう教室の生徒として別の場所で練習するのではなく、先生方や先輩方と同じ射場に立っている。
以前は社長だった私も、射場では完全な新人である。社長👉射場、親父ギャグである。こちらのほうはベテランだ。笑
先生方と同じ場所で弓を引く。そのありがたい(でもツラい)状況に、私の頭と体が追いつかない。
教室で覚えたはずの体配、つまり立ち居振る舞いや動作の順序が、急に出てこなくなった。足運びも怪しい。何とか思い出しながらついていこうとするのだが、冷静になろうとするほど、体が思うように動かない。
落ち着け、と思っている本人が、一番落ち着いていないのである。

無職のおっさん、二射的中
午後一時ごろに出かけ、練習や片付けを終えるころには夕方になっていた。実際に弓を引いていたのは、およそ三時間だ。
最初こそ頭が真っ白だったが、何度も引いているうちに、少しずつ思い出してきた。体も何とか動くようになり、この日は二射、的に当てることができた。

いやいや、やはり当たると気持ちがいい。
しかも、先生方や先輩方と一緒に引いている中での的中だ。初日の私にとっては、とてもいい経験になった。
ただ、不思議なのは、そのときの感覚である。
当たったときには、私なりにかなり無心になっていた気がする。あれこれ考えているときより、余計なことが頭から抜けていた。
それなら、その感覚を覚えておけばいい。
ところが、無心だったものだから、よく覚えていない。
当たったことは覚えているのに、どうやって当てたのかが、うまく取り出せないのである。
もちろん、これは初心者の私の実感だ。無心になれば必ず当たる、という話ではない。今の私には、まだ「この感覚だ」と言えるものがないのだと思う。
何度も引いて、何度も教えていただき、ときどき当たる。その積み重ねの中で、少しずつ分かってくるのかもしれない。
今のところ、的中した感覚は、つかまえたつもりですぐ逃げていく。
当たった的の前では、先生方が記念写真も撮ってくださった。
五十歳をとうに過ぎて、的中の記念撮影である。うれしいのだが、どうにも照れくさい。顔まで自然に決まったかどうかは、また別の問題だ。

無職のおっさん、最後の仕事は鍵の返却
肩の位置や、引き手の具合などを直していただき、また引いてみる。そんなことを繰り返しているうちに、三時間はあっという間に過ぎていった。
気がつけば、午後四時半ごろ。もう片付けの時間である。
片付けも、まだ勝手が分からない。私は道場の施錠をして、事務所へ鍵を返しに行った。
その間に皆さんはお帰りになり、私は少し座ってお茶を飲んだ。
体が、ガッタガタなのである。
練習時間はいくらでも作れる。しかし、体力までいくらでもあるわけではない。このあたりは、無職の自由でも解決しないらしい。
緊張して、思い出して、忘れて、直していただいて、また引く。体だけでなく、頭もずいぶんと働いた午後だった。
N-VANのシートポジションに新しい役割
さて、弓道とは少し別のところでも、一つ面白い発見があった。
先日のN-VAN納車後レビューで、運転していると少し前かがみになってしまう、という話を書いた。
昭和のおっさんの中には、軽の箱バンは少し前のめりで運転するもの、という感覚が残っている。私の場合、車の姿勢というより、昔の運転の記憶が体に染みついているのかもしれない。
今回、弓道着を着てN-VANに乗ってみると、その少し前かがみの姿勢が、私には案外しっくりきた。
弓道着が着崩れしにくく、運転しやすいと感じたのである。
普段なら気になっていた姿勢が、服装が変わると都合よく感じられる。これは、ちょっと新しい発見だった。
妻とワンコのために迎え入れたN-VANだが、私の弓道通いにも、なかなかよさそうだ。
これから弓道場へ行くときには、妻に借りて出かけるのもいいかもしれない。
もちろん、これは私の座り方と弓道着で感じた話。前かがみを頑張るというより、自然に座ったところが、今回はちょうどよかったのだ。
初日の練習では、覚えたはずの足運びまで忘れた。その一方で、軽の箱バンに乗る昭和の姿勢は、しっかり残っていた。
体の記憶というのは、なかなか不思議である。
こうして続けていけば、弓道だって……。明日も頑張ろう。
