「Martin」
ギター好き、アコギ好きなら、一度は思いを馳せるブランド。
そのMartinの中に於いて、個人的に非常に魅力を感じる名器が件の000-28。
そして私の所有Martinは、2018年に仕様変更された 000-28 Standard。
これが、実にいい。
「何がそんなにいいの?」「出力もないただのアコギだろ?」
と聞かれたならば、
「弾けば分かるさ」そう答える。
……と言いたいところだが、それではブログにならんので却下。
今回は、私が所有しているMartin 000-28について、スペックだけでは分からない魅力を、実際に所有している立場から少し詳しく書いてみたいと思う。私の稚拙な説明で伝われば良いのだが…。

※写真は私が撮ったものと、購入した時、サイトに掲載されていた写真(現物)を使用しますのでご了承ください。
■Martin 000-28
Martinといえば、D-28若しくはD-45を思い浮かべる人が多い。
確かにD-28やD-45はMartinを代表する超名器。
ジミー・ペイジが奏で、ニール・ヤングが掻き鳴らした両ギター。
その音を聴いただけでも、ハートはゴールドに輝くし、雨の中、歌も聞こえてくる。
しかし、だ。
ギターと言うものは、いろいろな機種を弾き込んでいくと、
「もう少し小さくて、抱えやすいギターが欲しい」
や、
「フィンガーピッキングも気持ちよく弾きてー」
とか、
「でも、でもMartinらしいローズウッドの深い音は欲しい欲しい」
などなど、欲張りなことばかり。
あそこの社長に「安くして〜」とお願いすれば、「税込1万円で」「安い安い〜」となれば良いのだがね。
さあ、そこで登場するのが000-28。
000(トリプルオー)は、ドレッドノートよりコンパクトなボディサイズ。
しかもスケールは24.9インチ。
Dシリーズのような「俺様がギターだが、何だ!?」という迫力ではなく、※Dはドレッド・ノートのD。
「私は上品に鳴りますけど、何か?」
という感じ。
これが000-28の魅力だと、私は思う。
抱えた瞬間に身体にスッと収まり、脱力を持ってなお余り有る感じだ。
ストロークもフィンガーピッキングもGOOD。
そして何より、長時間弾いていて、疲れないし楽しい。
「ギターを弾く」という行為そのものが、すっと生活に溶け込んでしまうギターなんだがや。

■2018年「リニューアル」
私が所有する000-28を語るうえで外せないのが、2018年の仕様変更。
Martinは2018年にStandard Seriesの多くのモデルを見直し、000-28にもヴィンテージテイストを取り入れた。
現在、Martin公式サイトではこの2018年仕様を「Retired Model」として掲載している。つまり、現在の現行モデルとは区別されるモデルです。※これが良いか悪いかの判断は各自に委ねる。
この2018年仕様、私、個人的にはかなり好き。これを狙って購入もしたくらい。
さて、何が変わったのか。
代表的なところを挙げると、
・シトカスプルーストップ
・インディアンローズウッドのサイド&バック
・スキャロップドXブレーシング
・エイジングトナー
・ヘリンボーン・バインディング
・べっ甲柄ピックガード
・ニッケルのオープンギアペグ
・Modified Low Ovalネック
・1 3/4インチのナット幅 など。
「現代の弾きやすさを持ちながら、見た目はヴィンテージMartin」
という方向に進化したと言うわけ。



■気に入っている「見た目」
もちろん音が一番大事。なんてったってアイ…… ギター、ですから。
……とかなんとか言いながら、ギター弾きという生き物は、結局見た目にも弱い。いや、見た目70%〜80%か!?と、それほどまでに、見た目は重要。
2018年仕様の000-28、とにかく雰囲気がありあり。
トップにはエイジングトナーが施され、真っ白な新品ギターという感じではなく、いい感じに飴色に焼けてる雰囲気を、芳醇に醸し出している。
そこにヘリンボーンのバインディング。
そしてべっ甲柄のピックガード。
オープンギアのペグ。※かなり埃が溜まるがね。
エボニーの指板とブリッジ。※今じゃ、シマ黒檀が主流だし…。
ローズウッドのヘッドプレート。
新品なのに、どこか昔から使っていたような雰囲気がある。

■シトカスプルース×インディアンローズウッド
そして、000-28の王道とも言える木材構成。
トップはシトカスプルース。
サイドとバックはインディアン・ローズウッド。
この組み合わせは、Martinの「28 Style」を語るうえで外せない条件。
ローズウッドらしい深みのある低音。
そしてスプルースの明瞭な高音。
そこに倍音が加わり、音が立体的に広がる。
特に000サイズとの相性がいい。
ドレッドノートのように「音圧で押してくる」というより、
音がスッと前に出て、その後ろに余韻が残る。
そんな印象。
もちろん、これは弾く人や個体差、弦、ピック、部屋やスタジオの環境などによっても変わる。
同じ型番だから同じ音がするわけではないんよね。

■スキャロップド X ブレーシング
2018年仕様を語るうえでもう一つ重要なのが、スキャロップドXブレーシング。
Martin公式の仕様でも、000-28 2018はX-Brace、Scalloped、Spruceとなっている。
ブレーシングは、ギターのトップ板の裏側に配置されている構造材。
簡単に言えば、
「ギターの強度を保ちながら、トップ板をどう振動させるか」
という、とても重要な部分。
スキャロップド加工によってブレーシングの一部を削り、トップがより振動しやすい設計を構築。
結果として、音の反応が良く、強く弾けばしっかり鳴り、弱く弾けば繊細に応えてくれる。
職人さんが一番こだわる繊細なところ?なのかもしれない。
その代償として、ライン生産のギターには無縁な保存、保管に細心の注意が必要。

■ネック・プロファイル
000-28の魅力は、もちろん音だけではない。
ネックはModified Low Oval。
さらにHigh Performance Taper。
ナット幅は1 3/4インチ、約44.5mm。
Martin公式仕様でも、このネックシェイプと1 3/4インチ幅が確認できる。
昔ながらのMartinというと、太いネックを想像する人もいるかもしれないが、この2018年仕様は現代的。
握った感じが比較的自然で、ローポジションからハイポジションまで弾きやすい。
もちろん、弦高にも拘ってはいるが、それも元の作りが良いので、調整幅が寛容。
さすがMartin、分かってるぜぃ。笑


■000-28=エリック・クラプトン
000-28を語ると、どうしても名前が出てくるのが、
エリック・クラプトン。
1992年のMTV Unplugged。
あの伝説的なライブによって、アコースティックギターの魅力が世界中に再認識されたことは有名。
そしてMartinとクラプトンの関係は非常に深い。
Martin自身も、クラプトンとの30年にわたるパートナーシップを紹介しており、1996年に登場した000-28ECは同社のベストセラーの一つになったと説明している。
現在もMartinは000-28ECをラインナップしている。お値段はお高いのよ。
Martin 000-28EC Eric Clapton Signature Model
ちょいとここで、注意してほしい。
私の000-28 Standardは「クラプトンモデル」ではない。
あくまでも000-28というモデルが、クラプトンをはじめとするアーティストによって世界的に知られるようになった、という話。そのほかにも000-28を使っているギタリストは沢山おる。国内では THE ALFEEの坂崎さんなども000のヴィンテージを所有してらっしゃる。
混同せぬよう、お願い申し上げる。
ただ、私の000-28も相当良いよ。
■「アンプラグド」以降の音楽シーン
1992年の「MTV Unplugged」
これはアコースティックギターの歴史を語るうえで非常に大きな出来事だった。
MartinもクラプトンのUnpluggedについて、アコースティック音楽に大きな影響を与えた出来事として紹介している。
そして面白いのが、その後の「000」というサイズの人気。
大型のドレッドノートだけがアコースティックギターではない。
小ぶりで抱えやすく、フィンガーピッキングにも向き、ボーカルの邪魔をせず、それでいて十分な音量と存在感がある。
ギターを抱え、歌う人にとって、000サイズは非常に理にかなっている。
とっくに市民権を得ているギターではあるが、また見直される良い機会となったことは誰がみても明らかであろう。
■D-28 or 000-28
D-28は迫力。
000-28は繊細さ。
……と単純に分けることは出来ないと思う。
D-28はストロークでガツンと鳴らしたときの気持ちよさがある。
一方、000-28は音の粒が見えやすく、コードを鳴らしたときのバランスがいい。
そして身体への収まりも素晴らしい。
個人的には、000-28が好き。何しろ、買っちゃったからね。
D-28も買おうか悩んだ時期もあった、しかし買わなかった。
それほどまでに000-28の存在は大きい。

■所有満足度
ギターの魔力、魅力は”音”だけではない。
ハードケースの外観、開け放った時の芳醇な香り。
Martinのロゴ、ローズウッドの木目。
フィンガーボードの漆黒。
私の000-28はボディバックの木目が何かの実のような、なんとも言えない可愛さを醸し出している。少し子供っぽい表情、とでも形容したら良いのか…。とにかくかわいい。
どんなギターにも「所有する喜び」があるとは思うが、私の000-28は特に表情が良い。
しかも2018年仕様は、ヴィンテージテイストが強くなったことで、単なる現行ギターとは違う魅力が出ている。
Martin公式では現在、この2018年仕様をRetiredとして掲載している。
少しお高いギターではあるが、我が家へ嫁いできてくれて本当に感謝。



ふっくらして見えるのは、私だけであろうか…。
■000-28 中古市場
2026年8月現在の市場を調べてみた。
現在、国内の新品・旧モデル在庫では、2018年仕様の000-28 Standardが**48万円(税込)**で販売されている例がある。
一方、現行000-28の国内新品価格は税込594,000円。
中古市場を見ると、イシバシ楽器では000-28系中古が40万円台~50万円台で掲載されている例があり、Yahoo!オークションでは「000-28」全体の直近180日間の落札平均は285,570円。ただし、これは年代・仕様・状態の違う個体を大量に含む数字。
したがって、私の2018年仕様 000-28を現在売却する場合、ざっくりだが、次のように考察。
【2026年現在の売却予想】
かなり綺麗・純正ハードケース・保証書等あり
→ 40~45万円前後
一般的な中古美品
→ 35~40万円前後
使用感あり・傷や打痕あり
→ 30~35万円前後
楽器店に買取へ持ち込む場合
→ 25~32万円程度になる可能性
あくまで市場状況からの推定。
個人売買なら40万円前後を狙える可能性があるが、販売店の場合は販売後の保証・調整・在庫リスクなどがあるため、当然ながら買取価格は下がる。
■「売らない」賢者の選択
もちろん、売っぱらっちゃう予定など、これっぽっちも無い。
2018年仕様は現在ではMartin公式でRetired扱い。
しかも000-28自体の人気は非常に高く、現行モデルも税込59万4,000円という価格。
楽器は投資商品とは少し違う。
株や投資信託のように数字だけ見て、
「上がった」だの「下がった」だのとはちょっと無縁。
むしろ、
楽器自体を弾いた時間、そのものに価値がある。
のだと、私はかように思う。
■まとめ――Martin 000-28 私の最高峰
Martin 000-28。
派手すぎない。
大きすぎない。
重くない。
ローズウッドの深み。
スプルースのヴィンテージ感。
スキャロップドブレーシングによる豊かな鳴り。
000サイズの抱えやすさ。
そして2018年仕様ならではのヴィンテージテイスト。
絶妙なところで取れているバランス。
「大人が一生付き合うアコースティックギター」
おそらく私は死ぬまで手放さないだろう。
結局、私の最終判断はこうなる。最初から売る前提はないのだがね。笑
ちなみに私のギターコレクションはまだまだある。
Martinだけではない。
次回、私が所有する、別のギターについても紹介してみたいと思う。
気長にお待ちいただけたのなら嬉しい。

関連サイト・参考リンク
■Martin Guitar 公式
Martin Guitar 公式サイト
■Martin 000-28 2018年モデル(公式・Retired)
Martin 000-28 2018 公式仕様ページ
■Martin 000-28EC Eric Clapton Signature
Martin 000-28EC 公式ページ
■Martin × Eric Clapton
Martin公式 Eric Clapton特設ページ
■クロサワ楽器 Martin 000-28
クロサワ楽器 Martin 000-28
■イシバシ楽器 Martin 000-28 中古・新品検索
イシバシ楽器 000-28検索ページ
■Yahoo!オークション 落札相場
Yahoo!オークション Martin 000-28落札相場

